ヒューベリオンさんのエンジン換装(ターボ化)レポート



<エンジン換装編>
既に計算上は十分な強度を持った強化ATを組んで
おりましたが、それでもこれまでとは比較にならない
爆発的なトルクとパワーがかかる為、更なるマージンを
取るべく、再強化に出していたATが戻ってきました。
強度は実にノーマルの2倍。これまでの強化ATと
比較しても2〜3割強度がUPしています。
以前組んだ時のWPCによる強化に新たな強化技術、
「錫ショット」を採用。またプレートの枚数を増やし、
強度をUPさせています。ベルハウジングはルネッサの
NA用。トルクコンバータはルネッサGTのパーツを
中身を強化してそれぞれ新たに使用しております。
SR22と強化ATを合体させた状態です。
多くの問題点と苦難を乗り越えて遂に搭載される
エンジンの全貌がほぼ仕上がりました。
SR20の分解からここに至るまで実に1ヶ月半。
特に組立工程に入ってからの苦労は並大抵のもの
ではなく、通常ならエンジン内部の組立から3日も
あればエンジンがかかる状態まで持っていける
ところを3週間要しました。
あらかじめ配線を作成し、搭載後に接続を行える
状態にしておきます。メインハーネスはプレの
ものを使いましたが、半数以上の機能はそのまま
使えませんので、このように新規に作成したり、
敢えて殺してしまって別途に引きなおすなど、
実態にあった配線に組み直しを行いました。
いよいよこの配線作業の事前準備終了をもって
エンジンをプレに載せる訳ですが、このエンジンに
火が入るまでには多くの作業が残されています。
見事U30のボンネットに収まったNEWエンジン、
SR22DETです。センターメンバーを取付けて
おらず、写真は左右のエンジンマウントで吊るして
いる状態ですが、センターメンバーも全く問題なく
取付できることを確認。
ここまでの道程が大変長いものがありましたが、
載ってしまえば後は火が入るまで時間の問題。
KA24を降ろして後に引けなくなった状態で
ここまで持っていけるかが、今回の換装の中で最も
大きな問題でしたので。
ボンネットにようやく搭載されたエンジンです。
まだラジエータがついておりませんし、各種配管や
配線の車本体への接続作業が未着手の状態ですので、
まだやる事は多いですが、とにかく載るかどうかが
最大の難関でしたからこれをクリアしたことで、
作業的にこれで3/4が終わったと思ってよいと
思います。この角度からだと判りづらいのですが
ヘッドの位置が恐ろしく下になりました。
ラジエータ搭載後に実測しないとわかりませんが、
5センチは少なくとも重心が下がったようです。
低重心化の正に狙い通りの結果になりました。
エンジン換装の際に外したドライブシャフトです。
オーバーホールも兼ねている今回、14万キロ走行に
よってだいぶ傷みが進行しているであろうシャフト
ブーツを丁度よい機会でしたので交換しました。
古いブーツは裂けやヒビもありませんでしたが、
ブーツ内部に水が溜まっていました。
(これはある程度は防ぎようがないそうです)
ドライブシャフトも強化するかどうか悩みましたが、
ドライブシャフトの強化は全体には行えず、応力が
かかる部位限定の強化となるので、これはそのまま。
ゼロヨンのように急激に力が加わるような乗り方を
しなければ大丈夫だそうです。
ドライブシャフトの接合部です。
ここが全くズレが無く、スムーズに動かなければ
いくらエンジンが載っても車としてまともに走れない
ので最後の最後まで不安だった部分ですが、
呆気ないぐらいスムーズに収まり、稼動状況も極めて
良好でした。これでエンジンから動力を伝える機能の
内、最も基本の機械的な部分はオールクリアです。
燃料をインジェクター内に送り込むレギュレータです。
オイルポンプの大容量化により、燃圧が純正だと
脈動してしまい、ポンプの効果が半減してしまう為、
オイルポンプと同じメーカー、SARDの専用設計
されたレギュレータに交換。燃圧を細かく調整できる
機能が付加されており、燃圧を確認しながら圧を
微調整することが可能です。細かい調整はdefiの
燃圧計やV−Proのデータを見ながらになります。
ターボには必然的にこういうクーリングパーツが
必要になる訳で、インタークーラーが新たに
フロントのオイル&ATFクーラーの前に取り付け
されました。パーツはトラストのインプレッサ前期
(GC8)のインタークーラーを流用。
「これ見よがしになるバンパーカットは避けて欲しい」
と言う私の要望にピッタリここに入る大きさのものを
何種類か探してベストのものを使用しているので、
縦・横・奥行きも含めてジャストサイズ。
下部ダクト全体とほぼ同じ大きさという事もあって
冷やすにはこの上ない収まり具合です。
エンジン換装に伴ってオイルとATFの配管も
エンジン側の取付位置が変わったので、見直しを
余儀なくされました。SRはエンジン本体の左側、
ヘッドとブロックの間と言った辺りに純正なら本来、
オイルエレメントのブロックがあるのですが、
移動式のクーラーを装着すると、ここからサーモ
スタットが内蔵されたブロックまで配管を通して
やる必要があります。KA24の時は結構楽に
通せる構造だったのですが、SRだとボディとの
クリアランスがギリギリ。よってこのように
エンジンのブロックに沿うような配管になりました。
これまた物理的な問題からプレ純正の冷却ファンが
取付できない為、新規導入された特殊な薄型ファン。
ご覧の通り、ファン本体をラジエータのコアに直結。
エンジン本体とラジエータの間に純正ファンが
物理的に収まらないようなクリアランスでも、
純正の半分から2/3の厚みで済む為、取付できる
という優れものです。また純正より羽の枚数が多く、
回転速度が速い為、回った際の廃熱能力も純正より
大きく向上しています。能力が高い代わりに音が
うるさめなのが欠点ではありますが。
上から見た時のファンとエンジンのクリアランスは
こんな感じです。エンジン換装により、多少取付け
位置が変わってしまったヒーターの配管もそうですが、
一番問題だったのが右側のファン。高い熱源の一つ、
タービンが結構ラジエータ側に出っ張っている上、
レイアウト上、この辺りを通すしかなかった
インタークーラーの配管などが近くに通っており、
これより1.5倍は厚みがあるプレ純正のファンは
これらと干渉してしまって収まりませんでした。
このように当初予定ではプレ用を流用する予定で
あったものが、現物合せでダメになったパターンが
数多くありました。
まだマフラーのフロントパイプ(蛇腹付き)が取付
されていなかったり、インタークーラーのパイプが
本取付されていなかったりしていますが、下からの
レイアウトはほぼこんな状態です。
思ったよりすっきりして簡単にできそうに見えますが、
インタークーラーの配管はショップの社長の溶接を
駆使したお手製ですし、どの空間にどの配管を
通すかなど全て最初に青写真を描いて計算した上で
組んでますので、見た目と裏腹に苦労と工夫の跡が
随所に見られます。同じ作るなら美しく妥協のない
仕事をすると言う社長のポリシーが垣間見えます。
エキマニから触媒までのフロントパイプを作る為の
部材一式です。現車合せですので、蛇腹やフランジ、
ストレートの長めのパイプに使いそうな角度のついた
パイプを数種類と言う構成。ここからお得意の切った
貼ったで車に合わせたフロントパイプを作り上げて
行きます。
取り寄せたパイプを何度か合わせては外しの作業を
繰り返して、「丁度このぐらいの角度がついた
パイプがこのぐらい欲しい」と言うのが決まると、
チタンマフラーを作る際にお馴染みのカッターを
使って望ましい長さと角度のパイプを作ります。
一発で決まればそれに越したことはありませんが、
微妙に角度が合わずに隙間ができてしまうと、
排気モレしてしまうので、ピッタリ合うように
細かい補正を繰り返しながらの作業です。
カットしたパイプを接合する部分に合わせて、
位置取りなどを確認しています。フロントのメンバーが
見えることからもわかる通り、この辺りはレイアウトが
非常に限られています。エンジン本体も最初の始動や
変速時には前後に動くので、その辺りを考慮しなければ
なりませんし、何より最終的にはディフューザーで
フロア下が覆われるので、ディフューザーと干渉しない
配慮をする必要があります。様々な要因を同時に満たす
レイアウトを考える難しい作業です。
位置が決まって必要なパイプが出来上がると、
いよいよ溶接によって最終仕上げ。
夏場で気温30度を越すただでさえ暑い中、
防護面をかぶってパイプの内部が真っ赤になるような
溶接作業を行っています。溶接によって無いパーツや
ステーを作ることができなければ、エンジン換装は
不可能だったと言えるでしょう。
完成したフロントパイプ(ワンオフ)です。
エンジンから振動や変速ショックが常時加わる場所に
付きますので、この部分に関しては軽量なチタンでは
強度の確保ができないので、敢えてステンレスを
使って強度を重視しています。
溶接作業直後の為、熱くて持てないので、エアーを
吹き込んで冷却とダスト清掃を行っています。
フロントパイプの取付状態です。
必要なクリアランスのみ確保し、車の状態に合わせた
ギリギリのレイアウトで作られています。
これより少しでも取付位置が下がってしまうと、
ディフューザーと干渉して大変なことになります。
フロントメンバーが並んで見えますが、高さ的には
一番出っ張っている蛇腹のフランジがメンバーと
ほぼ同じ高さに作られています。
HKSの<A/Fノックアンプ>と言われる空燃比
モニターとノッキングのモニターが一体化した
センサーです。市販のヘッドホンを接続することで、
ノックセンサーからの信号を聞くことができたり、
空燃比が薄いと判定すると、自動的に補正をかけて
V−ProのAI機能に学習させていく優れものです。
ターボ車はノッキングが発生するとエンジンに深刻な
ダメージを受けてしまうので、ノーマルCPUで
対応できない状態になった車にはこういった監視用の
センサー装備が必須です。
エンジンヘッドの位置が下がったことにより、
KA24で導入できなかったエンジントルクダンパーを
新たに導入しました。またこれまでエンジンの変速等の
振動を強化エンジンマウントによって抑えてきましたが、
より効果的なパーツであるトルクダンパーを装着した
ことにより廃止しました。
ダンパー本体は汎用品ですが、左右の固定するステーは
例によって設定が無いので、現車合せによるショップの
社長の自作。特にエンジン側のステーは様々な工夫が
凝らされており、L字型のステーを2枚継ぎ合わせて
溶接を行い、不足する剛性を縦に2枚、補強材を入れる
ことによって100kgを超えるエンジンの振動を
ガッチリ支えています。エンジン本体の接合部も強度を
重視したスタッド式ボルトにて3点止めしています。
プレサージュGTターボついに完成!
構想&計画始動から実に3ヶ月。KA24を降ろし、
この完成状態まで持っていくまでに1ヶ月半を要した
大換装劇になりました。当初シャーシが同じという
ことでかなり流用できるパーツがあるだろうと想定
して選んだこのエンジン。結果的にほとんど流用が
できなかった上にルネッサNAのエンジンの方が
まだ障害が少なかったと言うオチになりましたが、
こればかりはやってみなければわからなかったこと。
よくぞ載った&仕上がったと言うべきでしょう。
耐久性に関してはきっちりメンテナンスを行えば
折り紙つき。大事に使って行きたいと思います。
熱量が大幅に増えることを想定してあらかじめ
ATF&オイルクーラーやラジエータの3層化を
図った上での導入でしたが、やはりNAと比較して
熱量が半端では無いため、今後はこちらを様子見
しながら不足する部分を追加補強していきます。
フロントマスクはこんな風になりました。
バンパーのカットこそ「パッと見の概観はノーマル」
と言う主義に反するので全く行っていませんが、
インタークーラーもろ見えですので、見る人が見れば
バレバレです。つや消しの黒に塗装して目立たなく
する手もありましたが、パープリッシュシルバーの
塗装色と同化してしまって、このようにスポット的に
見ると目立つものの、大多数の人にはバンパーの
一部にしか見えない程度なのでそのままにしました。
メーター周りもターボ化によって追加メーターや
モニターが増えて様変わりしました。
新たに増えたメーターはダッシュボード上より、
Defi BFのターボと油温計(ATF用)。
メータ周りは右よりブーストコントローラ
(HKS/EVC)、Pivot80φタコメーター、
A/Fノックアンプ(HKS/AFK)です。
タコメーターはエンジンが8,000まで回る為、
純正ではスケールが足りないので導入。
メーター類はそれぞれピークパワー時の値が
12時を指すようにセット。(一部は推定値)
リンクディスプレイはこれまたサーキット等で
全開走行した際に確実にスケールが足りなくなる
スピード計の役割を担います。
従来の4基+ディスプレイにメーター3基追加、
モニター2基追加と言うすごい状態になりました。
全体の立ち姿はこんな状態になりました。
外見には例によって全く手をつけておりません。
フェンダーのステッカー類を一部更新したのみです。
ターボ化していることを前提で見てしまうと、
どうしてもフロントダクトのインタークーラーに
目が行くと思いますが、黙っていれば外見上は
むしろこの程度。ここに目が行かない限り判らないと
思います。駐車中は運転席周りの追加メーター類の
多さで「あれっ?」と思う人はいるでしょうが。
平時は外観よりミニバンとは異質のエンジン音と、
タービンからの吹き返しのウェストゲート音が
レスポンスの良さから頻繁に発生しておりますので、
こちらで正体がバレると言った感じです。
たくみ@OBさんにご協力頂いて、1,000kmの
慣らしに出発する直前、アイドリング不調により不発。
アイドリングが安定しないため自走不可となり、
ローダーでショップへ緊急入庫となりました。
全てCPUの設定を1からセッティングしている為、
実際に走ってみないと判らない部分はあり得る話し
でしたが、何とも幸先の悪いスタートとなりました。
原因はA/Fノックセンサー(空燃費の補正データを
V−Proに送る装置)が送った異常な値がセット
されて、アイドリングが維持できない状態になった為。
こうした問題点を一つ一つ洗い出して潰していく
作業が今後もまだ残されています。

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