ヒューベリオンさんのエンジン換装(ターボ化)レポート



<エンジン外装部組立編>
いよいよKA24を降ろしてエンジンを積み換える
工程に入りました。エンジンオイル・クーラント・
ATF・冷媒などオイル系を抜き取った後、
補機類から順々に外して行きます。
余裕があるように見えてボンネットの中には随分、
色々と付いているので、エンジン本体が降ろせる
状態に持っていくまでかなり時間がかかります。
SR20についていたパーツで再利用するものは
洗浄を行った上、再利用します。
これらは灯油とエンジンコンディショナーで綺麗に
洗浄してから使います。特にINマニの左隣にある
インジェクションの部分はガソリンを噴霧している
部分だけに入念に洗浄が必要。
右隣のプーリーは滑っては困りますので、この後
パーツクリーナーで油分をよく落とします。
車から降ろされたKA24DEです。
ATをつけたままの状態で降ろしております。
EXマニは社外品ですので実際の形状とは異なります。
ヘッドカバーの部分はアルミブロックですが、
腰下部分(EXマニから下)は黒っぽい色からも判る
通り鋳鉄製です。非常に頑丈ですが重たいエンジンで、
AT分離後に重さを計測した所、何と220kgも
ありました。KA24の計測はいくつかの補機類を
外した後で計測であり、EXマニが軽量の社外品に
なっていてこの重さですからいわばこれは最低重量。
SR20との重量差はインタークーラーなど追加する
補機類やパイピングの重さを割り引いても、
220kg−140kg=80kgの差と言ってよい
かもしれません。換装を行うことにした理由の一つに
「軽量化」がありましたが大きな期待を持てそうです。
エンジンを降ろす際にラジエータも邪魔になるので
取外しました。現物全体の写真に撮った事が無いので、
これを機会に収めたものです。
既に導入してから7年は経過しておりますので、
かなり汚れと一部にコアの損傷が見られますが、
未だ問題なく十二分に機能を発揮しております。
銅ですので渋滞時にも優れた冷却性を発揮しますが、
やはりネックは重さ。重量は17kgありました。
ベストは銅の冷却性とアルミの軽量を掛け合わせた
真鍮製ですが、維持管理が難しく、コストもかなり
高いものとなってしまいます。
エンジンを降ろした後、リフトUPした状態で真下から
ボンネット内部を写真に収めた状態です。
車を構成するパーツの中で最大、最重量パーツを
収めている空間だけにその広さはかなりのもの。
同時にこの空間に足回りの一部など相当数のパーツが
詰め込まれていることもよく判ります。
AT接合部のプレートやフライホイールが合うか
マッチングを見ています。フライホイールは見事適合。
問題はプレートの方で、U30のATの方が明らかに
一回り大きく、形状も異なっていることが判明。
これはU30の方がフライホイールが一回り大きく、
その分ベルハウジングと呼ばれる筐体の接合部が
大きいためです。やはり一筋縄では行きませんでした。
ベルハウジングは後ろのAT本体と分離できる為、
型式を調査し、ベルハウジングにマッチングが取れる
ものを使うこととして、この段階では調査保留です。
KA24にお別れをする前に14万キロ超の走行を
経たエンジンの状態を見てみようという事で、
ヘッドカバーを外して御開帳。ベットリとオイルが
付着していたりしないか実は結構ドキドキもの。
結果はご覧の通り。恐る恐る蓋を開けるとオイルの
付着が全く無い綺麗な状態で、管理が行き届いていた
ことに一安心。未だにレブリミットまで一瞬で回る
元気の良さを見た気がしました。マメにオイル交換を
することの大切さを、実際に見て知った気分です。
社長にも完璧な管理状態とお墨付きを頂きました。
開けてみて今まで自分が思い込んでいた間違い発覚。
余りに回らないエンジンなのでトルク重視の8バルブと
思っていましたが、ちゃんと16バルブでした(_ _)
回らないのは余程ロングストロークな為なんですね。
14万キロを支え続けてくれたKA24といよいよ
お別れする時が来ました。頑丈一点張りの設計で重い、
回らないとU30が雑誌で散々に言われた理由の一つに
なったエンジンですが、このエンジンは14万キロを
ノートラブルで走った私の大事な相棒であったことに
変わりはありません。私の最初の愛車の心臓であり、
いじる楽しさやGOプレ、そして多くの仲間との交流や
出会いのきっかけを作り、支え続けてくれました。
サーキット走行時に160km/hで頭打ちになってしまう
加速にやきもきしながら、それでもいじる度に過走行の
くたびれを感じさせず成長をするこのエンジンは
雑誌の評論家が何と評価しようが私にとっては名機。
せめてもの最後の儀式としてお清めをしました。
エンジンを降ろし動けない車がピット内に居座っては、
他の作業が何もできなくなってしまうので、ショップの
駐車場に押し出しました。エンジンの他、ラジエータ、
ATなどおよそボンネット内に収まっていた重量物と
言えるものが一切抜き取られてますので、車高が上がって
こんな状態に。フロントの車高が上がってハイドロの車
みたいです。車高はノーマルより更に25oUPです。
スロットルを取付けた状態です。このスロットル、
実はKA24の遺品。SR20のスロットルは60φ。
ですがKA24のスロットルは何と70φ。スロットル
ボディ自体は接合部も含め同じでビッグスロットル化の
希望ともマッチング。そのまま使えるため、活用する
ことにしました。しかしそのままポン付けと行かないのが
難しい所。プレサージュ用のスロットルボディは、AAC
バルブ(補助空気制御弁。アイドリングをコントロールする
バルブのこと)と連動させる機構が一体となっており、
取付けると下にある配管と干渉することが判明。
一方SR20は連動機構が無く、スロットルセンサーを
介してAACと連動を取っており、動かすにはルネッサの
ノーマルCPUが必要ですが、それは手元に無い。
AACが無いとAT車に必須のアイドリングが取れない。
困った問題を考えた挙句、出した結論は「V−Proで
AACの調整を全て行う」。非常に困難な調整を敢えて
1から設定するという決断を下すことになりました。
HKSの強化インジェクターです。
最大吐出量は740ml。SR20のノーマル
インジェクターでも300ml程度だそうなので、
実に倍以上の吐出能力があることになります。
800PS以上を発揮するアリストやGT−Rに
使うものと容量は同じ。実質的には555mlでも
十分でしたが、敢えてこちらを使用したのは、
容量不足による噴射量不足が確実に防止できること。
740mlのインジェクターの方が555mlの物より
無効噴射時間が短く、レスポンスに優れるためです。
インジェクター強化に伴い、フューエルポンプも
大容量のものに交換を行いました。
写真は取外したプレ純正のフューエルポンプ。
容量は180l/h。純正フューエルポンプの容量と
しては大きい部類に入りますが、これでも不足する
可能性が高い為、260l/hの強化タイプに交換を
しました。交換作業は既に作業が完了済みだった為、
記録に収めることができませんでした。
オイル周りとAAC関係の変更に伴う処理です。
オイル関係はオイルクーラーを既に増設しているので、
本来オイルフィルターが付く場所にオイルクーラー用の
アタッチメントを装着。defiの油温計センサーも
既にこのアタッチメントに取り付けられています。
左隣の鉄板で塞いだ箇所が元々このエンジンに付いて
いたAACバルブの装着箇所。バルブの代わりに鉄板で
塞ぎました。AACの調整用データはこの鉄板の後ろ。
INマニの下にあるパイピングから取得を行います。
AT側の取付状況です。
写真左真中付近にGT−RSタービン。右上のINマニ
周辺にスロットルボディ(KA24用改)が見えます。
INマニの上に新たに取り付けられている物体が新しい
AACバルブ。しかし前述のように制御を行うデータが
ありませんので、V−Proで作り込みを行います。
一見、純正と見紛うばかりに収まって見えますが、
タービンとAACバルブのステーは社長の自作。
他にも切った貼ったの部分がいくつもあります。
HKSのGT−RSタービンです。
どうやって取付するか懸案だった事項の一つで、
HKSからも「付くんですか?」と心配をされた
そうですが、見事に収まっております。
取付キットを使ったかの如く綺麗に収まっていますが、
純正のタービンと向きが異なる為、純正のステーが
全く使えず、現物合せで社長が自作したものです。
ステーを溶接して作ってしまう十八番がここでも
十二分に本領を発揮しています。
ベルト・プーリー側の取付状況です。
当初予定では右側真ん中のオルターネーターや
その下にあるエアコンプレッサーはプレ用を流用する
予定でしたが、プーリーの径や取付位置が全く合わず、
購入したエンジンにも付属しておりませんでしたので、
リビルト品を調達しました。仮にプレ用がそのまま
使えたとしても、14万キロもの距離を使ったパーツ。
お迎えは時間の問題となればオーバーホールを兼ねる
意味からもこれを機に一気にと考えるべきでしょう。
左側の小さいプーリーの後ろにはそれぞれオイルと
クーラントのポンプがついておりますが、こちらも
新品に換装。特にオイルポンプはWPC加工の他、
錫ショットまで行われた強化品になっています。
EX側、つまり取付けると正面に当たる側です。
左側にオルターネーターとエアコンプレッサー、
カバーが取付けられたEXマニを挟んで右側に
タービンと言う状態になります。
EXマニはまずはエンジンがちゃんと車に載って、
エンジンがかかることが現状では最も重要なことに
なりますので、純正をそのまま使用しています。
軽量で高効率の社外品を作るのは後日の課題です。
右がGT−RSタービン。左が純正です。
大きさが1回りは優に違います。
問題点の取付の向きが異なるとはこういうこと。
純正は写真のような向きで取付されているのですが、
RSタービンをこの向きで取付けるとエンジンの
配管やラジエータと干渉して装着不能。そこで向きを
90度変えたと言うわけ。たったそれだけと思うかも
しれませんが、純正タービンを見てもわかる通り、
実際のステーがくる位置は左上から左にかけての場所。
これを90度向きを変えるとステーも向きを変えた
状態のものが必要になるわけで、一回り大きくなった
タービンを限られた空間で各部との干渉を考慮しつつ
ステーを作る高度な技術がここに集約されています。
プレとルネッサGTでATのベルハウジングが異なり、
取付できないことが判明をしていた為、ATの型番など
からマッチングがとれるATを調査。ルネッサNA
(SR20DE)のATがプレとベルハウジングの形状が
違うだけ同じであることがわかった為、中古のATを調達。
エンジンとの接合部に当たるベルハウジングを
私のプレの強化ATとドッキングさせて使います。
最大の懸案事項の一つであったドライブシャフトの
合せテストです。エンジン本体とドラシャを繋ぐ
このステー、まずプレ用はボルトの位置が全く
異なるため流用不能。この段階でエンジンマウントの
位置が同じであることやエンジンの搭載位置が同じ
ことが判明しており、ドラシャの製造品番もU30と
同じなので、ルネッサGTのステーが入手できれば
一挙に問題が解決したのに、何とこのステーが製廃。
購入の際にステーは外されており、中古も入手が
絶望的になりました。ルネッサNAのドラシャなら
あるという事で、一縷の望みを託しドラシャごと入手。
3箇所あるステーの取付位置の内、最も重要な写真の
2箇所が一致しました。
ステーが付けられる見込みになったと言ってそれで
終わりではなく、肝心のドライブシャフトが真っ直ぐに
問題なく取付できなければ何の意味もありません。
そこでATを再強化に出している間にベルハウジングの
交換用として購入したルネッサ用AT(中古)を持って
きて稼動及び取付状況をテストを行いました。
ドライブシャフトとATの接続状況です。
ステーが使えないことで突如、容易ならざる問題として
急浮上した部分ですが、全く問題ないことを確認。
このATとの接合部の下に実はエンジンマウント用の
ステーが更に付くのですが、こちらも1箇所穴の位置が
異なるのみで取付可能であることを確認。
配管の取り回しは搭載して状態を見ながらとなります。
最終的にドライブシャフトのプレートはこんな姿に
なりました。上の継ぎ足し部分はKA24のプレートを
一部拝借して活用。左側の大きな継ぎ足しプレートは
10o厚の鉄板を加工して流用しています。
ここでも溶接による無いパーツは作る技術が存分に
生かされています。本来、3点止めのプレートを
4点止めにしておりますので、継ぎ足したと言っても
強度は純正のそれと何ら遜色はありません。
以上を持ってプレにSR22を搭載する準備の物理的な
部分がオールクリアになりました。
いよいよエンジンをプレに搭載する工程に入ります。

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