ヒューベリオンさんのロールゲージ装着記

5年ほど前に行った発泡ウレタンの充填から始まり、
タワーバー&ロアアームバー → スタビライザーと
車の戦闘力UPに合わせて車体自体の剛性強化をこれまで順次
行ってきましたが、足回りの戦闘力がここ最近で大幅に
向上したのに加え、10万キロ走行を目前に控えて、
さすがに車体にヤレ生じ、軋みが出るようになりました。
これにより車自体を現状のみならず、今後のパワーアップにも
十分耐えられるものに大幅な補強を行う必要が出てきました。

今回行った強化は
(1)ボディにこれ以上の負荷をかけないようにする補強
(2)足回りのスペックと今後の展開に見合ったボディ剛性の獲得
(3)安全性の更なる向上
以上3点を主目的とし、作成を依頼するに当たっては
(1)ミニバンとしての使い勝手を喪失させないこと
(2)Myプレのコンセプト「パッと見は純正」を維持しうること
(3)市販のロールケージにありがちな物入れが使えなくなるという
 弊害をできる限り避けること
以上3点を満たした上で、剛性を飛躍的に向上させたいという
わがままな注文をお願いしました。今回はお馴染、アルロイテも
ロールケージに使う太いパイプを曲げられるほどのベンダーが
無いので、得意先のケージ屋<クラフトエンジニアリング:以下
クラフト>に外注で作ってもらいました。

当初10日程度で出来上がる予定がU30プレの欠点である、
2重構造のフロアや跳ね上げ式のサードシート、
使えないのについているエアコンの噴出し口の出っ張りなど
普通の車にはない問題点が重なり、3週間弱を要しました。
以下の写真はできあがったロールケージの詳細です。




フロントがちょっと見づらいですが、ロールケージの全体です。
6点式・40φ、材質はWRC等レースのレギュレーションにも
合格するスチール素材を使用しています。40kg近い重量増に
なっていますが、車体の剛性はとてつもなく向上しており、
スポーツ系の車の挙動になった他、軋みは完全に無くなりました。
サードシート頭上にあるバーが盛り上がった形状をしているのは、
ちゃんと人を乗せた時を考えての配慮。実はここまでは頼んで
なかったのですが、クラフトが構造変更無しで車検を通るように
配慮してくれました。ワンオフだからこそ可能であると同時に、
プロの仕事に対するこだわりが垣間見えます。
Aピラー(運転席)〜Bピラー(運転席すぐ後ろ)部です。
Aピラー・Bピラー共、左右をバーで繋いで剛性を上げています。
Bピラー部の天井にあるバーもちゃんと運転席&助手席に人が
座っても頭がぶつからないように位置取りに配慮がされています。
実際に身長177cmの私が座っても当たりませんし、
もっと背の高いたくみさんが座っても全く問題ありませんでした。
当初後ろはリアのホイールハウスに内装をカットして落としこむ
つもりだったのですが、跳ね上げ式のサードシートが災いして
固定できず、ラゲッジの左右にあるフックがあった場所に固定を
しています。この結果、サードシートを跳ね上げる事が不可能に
なってしまいましたが、これは止むを得ないでしょう。
その代わりラゲッジの部分までケージで覆う事になったので、
上屋全体の剛性が飛躍的に上がっています。
Bピラー部のバーです。なるべく目立たないよう作ってという
わがままなオーナーの注文に、Bピラーに半分隠れるような
位置取りをすることで見事応えています。またバーがピラーに
寄っている為、乗り降りのし易さにも全く影響がありません。
更に驚くことに前列のシートを目一杯後ろにしても干渉しない
ばかりか、シートも完全に倒せます。実用性を全く損なわない
絶妙の作りに驚かされます。
Bピラーの上部に頑丈なステーで補強が入っています。
車体中央部分に当たるBピラーは最も歪みやたわみといった
負荷がかかる場所であり、ここをバーとガッチリ繋いで
補強を施してやることで、剛性が大幅にアップします。
U30プレの欠陥?の一つ、2重フロアと発泡ウレタンを
やっていたことがBピラー底部を固定する際に問題になって
しまいました。そこでクラフトが考えたのが、Lの字型の
特別なステーを作って固定すること。2重フロアの側面に、
極太のL字ステーでガッチリとボルト止めされています。
Aピラーの助手席側です。ロールケージを組むと使えなく
なってしまうのが常識のグローブBOXがバッチリ使えます。
代わりに内装のライン合わせで出っ張りとなっていた
ドア上部の内装は男の内装カット(爆)をしました。
この部分、私の「グローブBOX」を使える状態にしてほしい
という非常識?な注文に、5度も組み直しをしたそうです。
内装カットの部分は何か当て板をして塞いでおきたい所です。
ドアを閉め、グローブBOXを収納した時の状態です。
ドアの内装をカットして通す空間を確保しているとはいえ、
ギリギリ一杯のクリアランスです。
ドアを閉めた状態でグローブBOXをオープンにした時です。
グローブBOX自体、左端に若干カットしても大丈夫な余裕が
あったので、お願いした当初はそれやっても構わないよと
言ってあったのですが、グローブBOX自体は無加工でこの
状態になるように作ってきました。グローブBOXが完全に
使える。これはロールケージを組んだことがある人にとっては
驚異的なことだそうで、実際にアルロイテの常連客の皆さんは
見たことも聞いた事も無いそうです。
Aピラーの運転席側です。こちらもドアの一部を内装カット
してあります。ヒューズボックスの前に装着されている
小物入れはさすがにどうしようもありませんでしたが、
カード入れは全く問題なく使えます。アクセルワークにも
影響はありませんし、若干ボンネット&給油口のレバーを
操作するときに邪魔になる程度です。
カードフォルダ部分の拡大写真です。
ご覧のとおり、ちゃんとカードフォルダが生きてます。
結局ロールケージを組んだことで使えなくなったのは
下の小物入れとサードシートが跳ね上げできなくなった事、
サンバイザーが2つとも無くなったことの3点だけでした。
サンバイザーは後付けのパーツがありますので、実用性は
ほとんど損なわれていないと言っていいでしょう。
フロントガラス越しに中の様子を見た場合です。
パットをあえて内装色に近いグレーにして目立たなくかつ、
内装と一体感を持たせたので、ロールケージが入っている
ことを知っているならとにかく、知らなければそんなものが
ミニバンに入っているとは夢にも思わないでしょう。
フェンダーのステッカーとダッシュボードのメーターを見て、
「ミニバンなのに何だコリャ?」と思って覗き込んで初めて
わかるというレベルです。





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