マスターシリンダーを寿命により交換後、、マスターバックも合わせて新調を行う 予定で調達したものの、アルロイテ閉店と言う想定外の事態にパーツだけ持ったまま 保留の状態で作業は新ショップ、「スピードショップ・ターボ」に持ち越しとなって いました。 U30プレサージュのマスターバックは何故かシリンダーが4点止めと言う普通は 使わないタイプのもので、ブレーキキャリパー交換の際にシリンダーの大径化も 合わせて目論んだものの合う物が無く、若干ブレーキが奥で利く状態になるものの、 致命的では無いためマスターバック、シリンダーともU30純正を使用しておりました。 予定通りパーツのリフレッシュの意味でマスターバックの交換をターボに依頼した所、 実際の取付け状態やFAST、新型車解説書など色々なデータを分析していく内に、 マスターバックごとGT−Rのものが装着できる可能性があり、そのままシリンダーの 大径化が図れるのでは?と言う方向性が浮上。あきらめていたマスターシリンダーの 大径化に挑むことになりました。 いざ取り組んでみると当初は意外と簡単そうに見えて色々な細かい所で問題点があり、 その問題点の解決に合致するパーツを探しては合わせる作業と創造力が必要とされる 内容となりました。 以下は新ショップ「スピードショップ・ターボ」の手による『大径マスターシリンダー 換装』のレポートです。 |
U30プレサージュに取付けられているマスターバック及びシリンダーと GT−Rのものを比較する為、「バサラ」の中古キットを入手しました。 プレサージュのものが無かった為、同じだろうと私がオークションで 入手したものですが、これが返って今回の大きなキーポイントに。 まず驚いたのが兄弟車なので同じと思っていたシリンダーが何と2点止め。 兄弟車なのに何故?他にもマスターバックの径がプレより一回り小さい、 GT−Rなど多くの車に使われているものと全く同じでした。 恐らくプレは設計段階で重い車体を止めるには、大きいマスターバックが 必要と判断されて4点止めのものが採用されたのだと思いますが、バサラは 実際に車が出回ってからの実態調査で、一回り小さい他の車も採用している 汎用性の高い大きさでも十分な制動力が得られると判断されて2点止めの 一回り小さいサイズになったものと思われます。 |
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同じく比較用&最終的にシリンダーの部品取りとして入手したGT−Rの マスターバックとシリンダー。見ての通り、明らかにシリンダーの径が 違いますが、GT−Rのように最初から4POTの大きいキャリパーが 入っている車は最初からこの大きいサイズのシリンダーが使われています。 径はいわゆる片持ちの標準キャリパー仕様に使われるサイズが25.4φ。 大型のキャリパー搭載車に使われるサイズが26.9φで、一回り大きい 径になります。 |
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バサラとGT−Rのマスターをそれぞれ並べてみての比較です。 リザーバタンクこそ大きく異なりますが、マスターバックは全く同じ径。 シリンダーとの接合部も2点止めと驚くほど酷似。実際にシリンダーを 付替えてみるとGT−Rのシリンダーがバサラのマスターバックに すんなり入りました。 「何だよ。バサラのマスターバックが2点止めだと判っていたら後は シリンダーとリザーバタンクの挿げ替えで済む簡単な話だったのかよ」 とこの段階では思いましたが、事はそう単純で甘くありませんでした。 |
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重大な問題点その1。何とGT−Rのシリンダーとリザーバタンクの 接合部が前後で数ミリですが高さに差があることが判明。 一方プレやバサラをはじめ、25.4φシリンダーのこの部分は水平。 つまりプレのリザーバタンクをそのまま取付けすると隙間ができて、 そこからブレーキオイルがダダ漏れになってしまうことが判りました。 調べてみるとこの前傾姿勢のシリンダー、26.9φの大径シリンダー 特有の構造のようです。GT−Rのリザーバタンクが使えれば問題は ないのですが、プレのリザーバタンクの注ぎ口がジョウロのように オフセットされていることからも判るとおり、シリンダーの真上に乗る このタンクでは頭がつかえて装着不能。(キャップが外せなくなる) おまけに26.9φのシリンダーはどれもこの真上にタンクが載っている タイプしかないことが判明。タンクをオフセットしつつ、段違い平行棒の 状態をどう解決するか?いきなり難問にぶち当たりました。 |
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「確かタンクをオフセットする為にホースを使っているタイプが あった気がしたんだよな〜」という事で都合のよいパーツが無いか 調査することに。2週間後、「いいもの見つけました」との連絡が。 そして出てきたのが写真のパーツ。見ての通り向きも自由自在な上に、 これなら段差があろうが狭かろうが何でもあり。 どの車のパーツかと思ったらM11プレーリーのブレーキパーツ。 実はM11プレーリーは私の家で実際に乗っていた車。 かつて我が家で活躍した車のパーツに20年近い時を経てこんな ところでお世話になるとは思いませんでした。 これを2個使えば段差は問題解決。残るはリザーバタンクですが。。。 |
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リザーバタンクの役割上、タンクはシリンダーより取付け位置が上に 設置をするのが基本。またニップルからタンクまでホースで繋ぐと 言う方法を取らねばなりません。よってベストは真横か真後ろに 接合部が設けられているタンクとなる訳ですが、ここでまたもや M11プレーリー登場。ご覧の通り真後ろに接合部がある理想の形状。 おまけに取付け位置によってはそのまま使える可能性がある取付用の ヒンジまで設けられています。 全体の高さもGT−Rのタンクとほぼトントン。これなら行けそうと 言うことでいよいよ準備万端、整ったところで作業開始となりました。 |
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こちらが完成したリザーバタンクの取り付け状態。 空間的余裕から取付用のヒンジがあるとボンネットに当たってしまう ことが判ったため、ヒンジを使った取付けをあきらめて邪魔になる ヒンジをカット。マスターシリンダーの根元と一体になった取付け ステーを作ってその上にタンクを載せた形となりました。 このタンクが取り付けられた部分。丁度純正タンクの注ぎ口がくる 場所の為、ボンネットに干渉しないよう、切り欠きが設けられており、 空間的余裕があった為、そこにタンクをセットしました。 若干、タンクが前傾していますが、水平に取り付けるとボンネットと 干渉する可能性が高い為、逃がすためにわずかに前に傾けてあります。 |
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真横からみた換装後の状態です。 マスターバックはどちらでも装着可能だったと思われますが、 配管などプレとの確実なマッチングを考えてバサラのものを使用。 マスターシリンダーはR33GT−R純正(26.9φ)。 リザーバタンクとホース、ニップルはM11プレーリーを流用と 目的にあったパーツの組み合わせで見事にマスターシリンダーの 大径化に成功しました。リザーバタンクは他メーカーのものでも 問題ないので、高さがもう少し低くて同様のものがあればより ベストと言えますが、何よりもこうしたパーツの組み合わせを 用いることでどんな車でもシリンダーの大径化ができる可能性が 実証された意義は大きいと思います。 |
<最後に> 実走行しての感想です。 ブレーキキャリパー交換(6POT)により容量が増えた分、元のマスターバックと シリンダーの組み合わせは若干ブレーキが奥で効いている感覚でしたが、かなり手前で ちょっと踏んだだけ(足を乗せただけ)でブレーキが効き始めるようになりました。 踏みしろの増加分だけ、ブレーキのコントロール幅が広がってよりコントロールし易く なったと言う感じです。 マスターバックの径が一回り小さくなったことによる倍力効果減少や、強く踏んだ際に 大径シリンダーの方が力が分散しやすいと言う欠点も大径化にはあるようですが、 マスターバックはバサラで使われていて問題が出ていないと言うことはプレでもこの マスターバックで問題になるとは考えられず、実際に強めに踏んでの急制動も試して みましたが全く問題ありませんでした。 ブレーキが以前より手前から効き始め、踏めば踏んだだけ効くと言う感覚なので スピードレンジが上がって強めのブレーキが必要とされる程、そのコントロールの し易さを体感できました。 |